そもそも医学や医療が生まれ発達してきたのは、人間に幸福をもたらすためであ るということに異論を唱える人はいないだろうし、医学医療の恩恵により得られる 「健康」が、人生の目的ではないということにも賛同いただけるであろう。つまり、 医学医療は幸福のためのインフラと考えたほうがよいことになる。一般にインフラ は「安定供給による安心」が基本である。蛇口をひねれば水が出て、電気は常につ き、電話はいつでもつながる。これが損なわれると国民はパニック(注) になる。医療 政策を考えたり、医学を学び実践するものは「幸福のための医療」を念頭に行動する べきであろう。
注 :パニック/恐慌。